飾るは君の愛

小気味よい包丁の音が響く室内。静かに手を進めていく彼の横顔を眺め、格好いい顔だなあと思う。
表情筋が動きすぎるが故に忘れがちだが、爆豪くんはきれいな顔をしている。鼻がつんと高くて、耳の形は美術室で見た石膏像とよく似ていた。全体的に色素が薄いのも相まって儚さすらあるのに、身体はそれを感じさせないくらいに鍛え上げられている。
そのアンバランスさが人を惹きつけるのだろうか。なんだかんだと騒がれつつも、女性ファンは結構多い。広告の仕事などできちんとした格好をした彼はまるでモデルのようで、黄色い歓声を浴びることもしばしばだ。イケメンだとか美男子だとかに疎い私ですら、ふと見惚れてしまう瞬間があるのだから、彼は本当に綺麗な容姿をしているのだと思う。
……まあいずれも、動かなければ、喋らなければの話だ。幾ら秀でた容姿を褒め称えようとも、動いた瞬間チンピラに様変わりするのが彼である。
 
「……オイ。見てんなら手伝え」
「私が手を出さん方が、早く美味しく出来ると思うんよ、経験上。なので見学します」
「見んな! あっち行ってろ」
「ええやん。爆豪くんがご飯作るとこ、見るの好きなんやもん。手際が良すぎてうちのキッチンがプロ仕様に見えてくるから」
「そんなら顔じゃなくて手ェ見てろや! さっきからジロジロジロジロ、穴あける気かテメエは!」
 
バレていた。そりゃそうだ。
目を吊り上げて怒鳴る様はやはりチンピラそのものだった。さすがヴィランも恐れるヴィラン顔、恋人といえども少々怖い。不快感に照れが見え隠れするのがせめてもの救いか。
 
「ごめん、きれいな顔やなあって思ったらつい。あ、そうだ、爆豪くんさ」
「ベラベラ喋んな! 手伝え!」
「じゃあ食器出すね! そんでさ爆豪くん、穴といえば」
「めげろや!!」
 
言いつつ彼は手を止めない。具材を切り終え、今度はフライパンを熱し始めた。
個性でやらんの、と尋ねたのは付き合い始める前、寮生活の最中の話で、怒るとか以前に呆れた目で見られたのを覚えている。爆発クッキングは見られないのかと、がっかりしたことも覚えている。絶対面白いと思ったのに。
コップを並べつつ、再び横顔を覗き見た。この程度でめげていたら爆豪くんと付き合ってなんかいられないのだ。
 
「ピアスとか開けんの?」
「開けねえ。なんだいきなり」
「いかにもつけてそうなのになって。多分、四つくらい開いててもそんな違和感ないよ」
「……テメエはさっきから喧嘩売ってんのか? そんなに昼飯抜かれてえか」
 
びきびき音がしそうなくらい、こめかみに青筋が浮かぶ。折角きれいな顔なのになあ。それでも大して勿体無いと思えないのは、この怒り顔が一番彼らしいと感じてしまうからだ。モデルのように澄ました佇まいより、白目を剥いて叫んでいる姿の方が好きだなんて、よほどどうかしている。
炒められた具材が一度皿に移されて、代わりに卵とご飯がフライパンへ投入された。しっかり二人分作っているあたり、本当に昼を抜かれる心配はないと見て、話を続行することにした。
 
「似合いそうやなって思っただけだよ。あとさ、今、ヒーローカップルでお互いのイメージカラーのピアスつけるの流行っとるんやって。さっき見てた雑誌に出てたんよ」
 
黙る気がないと察したのか、とりあえずは最後まで聞いてくれる気になったらしい。口を挟むことなく私の話を聞いてくれた。
毎月五日発売、ヒーローガールズマガジン。表紙がクリエティだったのでなんとなく購入して、パラパラと捲る中でその特集を見つけたのだ。流行っていると言ってもごく一部の、交際を公表していて、かつ売りにしているヒーローたちの中での話だろう。しかし同じくヒーロー同士でお付き合いをしている身としては、その記事が多少なりとも気になったのだ。
私たちがそれをしたら、どうなるだろうか。週刊誌に憶測がたくさん書かれたり、爆豪くんが爆ギレしたり (これはいつものことか)と、色々想像はできた。
けれどなによりインパクトを残したのは、ピアスをつけた彼の姿だ。イメージカラーの交換、それすなわち。
 
「でね、私たちがやったら、私はオレンジで爆豪くんピンクやん。……ピンクの小物つけてる爆豪くんて、なんやろ、似合わなさすぎてすんごい面白いなって思って」
 
私が言うことではないかもしれないが、爆豪くんのイメージとはかけ離れた色だ。対局と言ってもいい可愛らしい色の石が、彼の耳を彩っている。それだけのことが大変に面白くて、想像するだけで笑えてしまうのだ。耐えきれずに吹き出した。その瞬間だ。
だん! とすごい音とともに、完成した炒飯が乗った皿が机に置かれた。叩きつけられたと言った方が正しい。驚く私の目の前で、爆豪くんは物凄い形相をして、ほくほく美味しそうに湯気を立てる炒飯にラップをかけた。
 
「あれ、なんでラップ」
「俺の晩飯」
「へっ」
「コイツはたった今、俺の晩飯になった」
 
きっちりラップをした皿を、間髪入れずに冷蔵庫へ放り込もうと持ち上げる。慌てて奪い取ろうとするが、爆豪くんのほうが上手だった。私の手を抑えつつ炒飯を死守、加えて冷蔵庫の扉を開く。彼の背に飛びついて、阻止せんともがくが片手であしらわれ、ただ背中に抱きついただけのような形になった。
 
「私のお昼ー!」
「俺のだっつってんだろ! 飢え死ね!!」
「ごめん! ごめんなさい! 出来立ての炒飯食べたい!!」
 
必死の平謝りと怒鳴り声。我ながら騒がしいが、近所から苦情が来る心配がないのは有難い。彼と暮らす上で防音マンションを選んだのは大正解だったと言える。
 
「訂正する、爆豪くんピンクも似合うよ!! ごめんね!」
「そこじゃねえわふざけんな!!」
 
――結局、しつこい平謝りに爆豪くんが折れた。
爆豪を折れさせるのは麗日くらいのものだ、とは切島くんの言だが、こちらが折れなければ割合折れてくれることが多い。……というよりは、私に対しては諦めているだけなのかもしれない。
以前、惚れた弱みかとふざけて尋ねたことがある。彼は肯定も否定もせず、ただ私をあしらっただけだった。それが、とても照れくさかった。彼がそうするときは大抵、私への好意を表に出すまいとしているときだと、私は知っていた。
 
冷めかけた炒飯を頬張りつつ、向かい合った爆豪くんに、ひとつ気になったことを問いかける。
 
「ピアス、なんであけんの? 冗談抜きで似合うと思うんやけどなあ」
「馬鹿か。ちったァ考えろ」
 
スプーンを置いた手がこちらに伸びてくる。髪の下を潜って私の耳たぶをつまんで、痛くない程度に引っ張った。一見良い雰囲気にも思えたが、囁かれた一言にさあっと血の気が引いた。
 
「ちぎられんだろが」
「……ひえっ……」
 
 
 
 
 
 
「あれ、珍しい。表紙だ」
 
リビングの机の上、投げ出された大きめの封筒。その口から半分飛び出していたのは雑誌だった。
イヤリング特集、と書かれた表紙には、砂色の髪と赤い瞳が大きく写っている。あの爆豪くんがアクセサリーのモデルをするなんて。少し驚いたが、事務所の方針に逆らえなかったのだろう。彼の所属する事務所は凄まじく商魂たくましいことで有名だ。使えるものはなんでも使う。爆心地のビジュアルも、その「使えるもの」のひとつらしい。
 
そおっと雑誌のはしを掴んで、封筒から取り出す。持ち主は封を開いたところで電話に呼び出され、自室で話している最中だ。勝手に見ることに負い目を感じたが、手紙ならまだしも雑誌、書店に行けばいくらでも見られるものだから問題ないと判断して、まじまじと表紙を見た。
こちらを睨み付ける爆心地の姿。付録はポスターで、表紙の写真を使ったものらしい。さすが売れっ子ヒーローだ。チャージズマ、イヤホンジャックと知った名前も何人か書かれている。よくよく見れば、このふたりと爆心地のインタビューも載っているようだ。
ーーインタビュー。他ふたりはともかく、爆心地の。まともにできたのだろうかと失礼なことを思いつつ、ページを開く。
 
思っていた以上に写真が多い。見開きに三人が並んで写されているものもある。イヤホンジャックの写真もたくさん載っていて、後で響香ちゃんに電話しようと思った。
次のページへ移ると、いよいよインタビューだ。なんだかはらはらしてしまう。こうしてちゃんとページができているのだから、大丈夫だとは思いつつやはり不安だ。出だしから「うるせえ」なんて返答するインタビューを、私は初めて見た。
 
「……やっぱり。上鳴くんと響香ちゃん、さすがやな」
 
案の定、ふたりのフォローがあって成り立っているようなものだった。今回の特集で気に入ったイヤリングを聞かれれば、チャージズマが自分の答えを出したあと、「爆心地はコレだよな、表紙の写真に使ったやつ。自分で選んでたもんな!」と投げ掛ける。一言二言引き出したあと、すかさずイヤホンジャックが「ウチはこれ。甘辛って感じで好きです」と遮った。
喋る隙を与えない作戦だろう。爆豪くんを黙らせるには、勢いで押し流すのが一番手っ取り早いのだ。本人もそこまで関心が強いジャンルではないからこそ、このやり方は大変有効だった。恐らくその辺りは打ち合わせもしていなかっただろう。さすが元A組、良くも悪くも彼の扱いが染み付いている。
 
インタビューはこの見開きで終わりのようだ。最後の質問は「読者の方へ一言」。よくある終わり方だ、私も前のインタビューはこの締め方だった。イヤホンジャック、チャージズマと順に答えていき、最後の最後が爆心地。
トリやで、爆豪くん。そんな大役屁でもないだろうが、そもそも大役とすら思っていなさそうだが、やはりここまでの流れを見ると不安になる。恐る恐る読み進め、あっという間に読み終わった。それもそうだ。彼の答えはただ一言だった。
 
満足かよ。
 
それだけだ。よくわからずに首を傾げた。爆心地のファンは満足しているだろうが、彼は己のファンに言葉を投げるようなことは滅多にしないし、そういう意味ではない気がする。無理矢理この仕事を入れてきた事務所に対してだろうか。それならこんなところで言わずに、事務所に戻ってから一暴れしそうなものだが。
 
「オイ。何見てんだ」
「わっ」
 
肩を叩かれ飛び上がった。実際雑誌がふわふわと飛んでいった。
 
「ば、爆豪くん。びっくりした、電話終わったん?」
「とっくに終わったわ。明日遅ェから晩飯先食ってろ」
「あれ、そうなん? 最近多いね、忙しい?」
「……忙しかったら、ンなアホみてえな仕事入れてねえんだよ」
 
天井にぶつかって跳ね返ってきた雑誌を指し、爆豪くんは唸るように言った。忙しいのは彼ではなく所長さんらしい。日中時間がとれないので、残業して打ち合わせをするそうだ。
爆豪くんが雑誌を掴んだところで個性を解除する。舌打ちの後、中身を見もせずマガジンラックへと立てかけた。
  
「見んでええの?」
「事務所で軽く見た。テメエも見たんだろ、ならいい」
 
……これは、妙なところがあれば指摘するだろうと思っての言葉だろうか。乗り気じゃない仕事の確認が面倒だったのもありそうだが、信頼を示されたようで少し嬉しい。なんだか決まりが悪くて、視線をマガジンラックからはみ出した表紙に向けた。
ギラギラした赤い瞳と、そのすぐ傍に光るイヤリング。素直に似合っていた。見た目だけならイケメンだから、その点は得だと思う。何を身につけても大抵様になるのは羨ましかった。
しかし、何かが引っかかる。最初に見た時は気が付かなかったが、いつも通りの爆豪くんのはずなのに、妙に気になるというかーー何かを見落としているような。答えが見つからず表紙をじっと見つめる私を、爆豪くんは見ていたらしい。
 
「……オイ」
「ん? どしたん、変な顔して」
「…………」
 
口がぱかりと開いて、何も言わずに閉じた。爆豪くんが言い淀むなんて珍しい。指摘すると怒られそうなので、黙って様子を伺った。
再び口が開く。
 
「満足かよ」
 
言うだけ言って、爆豪くんは部屋に戻ってしまった。残された私はぽかんと口を開け、彼の言葉の意味を探していた。
普段はすっぱりものを言うくせに、時々こういう謎かけめいたことをする。彼の中では通った筋道だったり、単なる照れ隠しだったりするのだが、恐らく今回は後者な気がした。だってこちらを見ようとしなかったから。
 
心臓がばくばくうるさい。顔が熱い。
謎かけの本当の意味はまだわからないが、少なくとも最後の質問のあの言葉は、私に投げられた物だったらしい。ファンでも事務所でもなく、恐らくは私だけに向けられたもの。
公私混同もいいとこやん、全国で売られるような雑誌で何しとるん、読者は私だけやないんよ。次々浮かんだ小言が、恥ずかしさと喜びに全て塗りつぶされる。マガジンラックから覗いた表紙の彼は依然としてこちらを睨みつけていた。
 
「ど……どういうことやろ」
 
再び雑誌を手に取る。なんとなく触れるのが躊躇われて、角をつまんで持ち上げる。ぎらついた瞳を眩しく思ったのが悔しい。赤から目をそらし、本来主役のはずのイヤリングにようやく意識がいった。
 
「あ」
 
思い出したのは数ヶ月前の記憶だ。
たまたま見た記事の話をした。なんてことのない日常の一部、いつも通りのどうだっていいような、数時間しないうちに忘れてしまうような会話。
それなのに、どうしてこのひとは。
 
彼の耳元で輝くイヤリング。四角くカットされたーーショッキングピンクの石。インタビューの中でチャージズマが言っていた。これは彼のお気に入り、自分で選びとった色だ。
絶対似合わないと面白がったから、見返してやろうと思ったのかもしれない。負けず嫌いは変わらず健在だ、その確率の方が高い。
実際この石は、彼によく似合っていた。ぱっと見た瞬間、違和感の欠けらも感じないくらいに似合っていた。最初からここにあったかのような気すらさせられて、余計に顔が熱くなる。
ただのイメージカラーの話だ。わかっているのに、私自身が彼を飾っているような、そしてそれを、爆豪くんが見せびらかしているような錯覚。
指の間から雑誌が抜け落ちた。ばさりと音がしたのに動揺して、わたわた両手を動かしていたら身体が浮き上がった。爆発しそうな顔を両手で覆い、勘弁してくれ、と思う。愛されているのを知っているが故に、きっとこの考えが自意識過剰では済まないことがわかってしまった。
私たちの関係が公になったら、あのひとはどうするのだろう。考えかけて泣きそうなくらい恥ずかしくなって、その直後にがちゃりと音がした。
 
「ば、ばくごうくん……」
 
顔が見れなかった。爆豪くんは天井近くで顔を赤くする私と、床に落ちた雑誌を交互に見て、諸々察したらしい。呆れたように私を睨んだ後、雑誌を拾い上げてテーブルに置いた。
 
「降りろ」
「う、うん……」
 
天井を蹴って床に向かう。手を差し伸べられはしなかったが、こちらから手を伸ばすと引き寄せてくれた。
つま先が床について、目の前に爆豪くんがいる。まだ恥ずかしくて顔は見れないが、とにかく彼に近づきたくて勢いよく抱きついた。背中に回した指先で個性を解除し、ぎゅうぎゅうとしがみつく。
 
「なんか文句でもあんのか」
「ある。全国誌でなにやっとるん、読んどるのは私だけやないんよ」
 
腰に彼の腕が回る。ちょっと屈んでくれたら楽なのに、と少し思う。
 
「……けど、覚えてくれとったのは嬉しい! ピンク似合う! かっこいい!」
「当たり前だろが! 俺を誰だと思っとんだ!」
「私の彼氏やね!」
「そうじゃねえだろアホ!!」
 
そうじゃなかったらなんなのだろう。天下の爆心地様? その爆心地様に、公開惚気をさせた私はもしかして結構すごいのでは。
 
「……でもさこれ、バレたらどうするん? や、バレんとは思うけど……何が起きるかわからんし。爆豪くん、騒がれるの嫌やから隠しとるんやろ?」
 
隠すと言い出したのは爆豪くんだった。騒がれたら鬱陶しいと言い放ったので、万一メディアに漏れないように私たちの関係を知るのは極小数に限られている。
爆豪くんが腕を放すのと同時に一歩離れる。ひどく自然に距離をとって、彼は口を開いた。
 
「結婚したらどうせ騒がれんだろ。それとまとめて済ます」
「そっかー。そやね、何回も騒がれんで済むのはええね」
 
……あれ。違和感に首を捻る。今何か、聞き慣れない単語を聞いたような。
脳内で彼の言葉を巻き戻していく。まとめて済ます、騒がれる、いや、そのもう少し前。どうせ。けっこんしたら。けっこん。
……結婚?
 
「……え?! けっこ……ええ?!!」
「おっせェんだよノロマ!!」
 
飛んできたのは小さな箱。咄嗟にキャッチしたそれは、うっかり発動した個性でふわふわ浮いていく。肌触りの良い、高級感溢れる箱。もしかしなくても中身は指輪だ。よく給料三ヶ月分だと聞くが、果たしてどうなのだろう。
 
「……ほ、本当に、結婚……するん?」
「しねえのかよ、テメエは」
 
爆豪くんは拗ねたようにこちらを見ず、唇を尖らせている。
いつから考えていたのだろう。いつから用意していたのだろう。予想外の展開に指が震えていた。
個性を解除して、今度こそ手のひらに箱を受け止める。ゆっくり開いてみれば、そこには、オレンジ色の石のついた銀のリング。
 
「……こんなん、大満足や……」
 
涙が溢れ出そうになったので、その前に再び爆豪くんへと抱きついた。抱き返す腕は先程よりも強い。
薬指を飾るのは、後ほど彼の手でしてもらおう。今はただこの喜びをどうにかして伝えきりたかった。溺れるように言葉を繰り出す。
 
「ありがとう、嬉しい」
「……おう」
「大好き!」
「知っとるわ」
「愛してるー!!」
「だから知ってんだよ! 今更言うなや!」
 
腕の中に爆豪くんがいる。その腕の先には彼がくれた指輪がある。私自身、爆豪くんの腕の中にいる。
たまらない、と思った。すぐそばにあった唇を奪い取って笑う。こんなに幸せでいいのだろうか!
 
「へへ、私も知ってる!」
 
虚をつかれた彼は驚いた顔をして、しかし否定はしなかった。照れくさい気持ちで額を合わせる。本日二度目の口付けは、彼の方から噛み付くように奪われた。